第106回 看護師国家試験 午前 問80 解説
📝 問題
Aちゃん(6歳、女児)は、左上腕骨顆上骨折と診断され、牽引治療のために入院した。医師からAちゃんと家族に対し、牽引と安静臥床の必要性を説明した後、弾性包帯を用いて左上肢の介達牽引を開始した。Aちゃんに対する看護で適切なのはどれか。
✅ 正解
4
💡 解説
✅ 弾性包帯は1日1回巻き直し、そのつど皮膚と循環の状態を確かめる。
弾性包帯を巻いて行う介達牽引では、包帯が皮膚を締めつけ、循環障害や皮膚のトラブルが起こりやすい。1日1回は包帯を巻き直し、皮膚の色・傷・かぶれと、指先の冷たさやしびれを確かめる。 巻き直しは牽引を一時的にゆるめる操作なので、医師の指示にそって行う。
他の選択肢は、必要のない介助か、看護師の判断では行えない操作である。6歳で健側の手が使えるなら食事は自分でできる。循環障害のしるしは熱感ではなく冷たさ・青白さ・しびれ・強い痛みである。抑制ジャケットは体幹の動きを止める行動制限にあたり、まず説明と遊びで安静が保てるかを試す。重錘(おもり)の重さは医師が決めるもので、痛みに合わせて看護師が変えることはしない。
- 1
食事を全介助する。不正解
6歳で健側の手が使えるなら、食事は自分でできる。食器の位置や姿勢を整えて、自分で食べられる範囲を残す。
- 2
左手指の熱感を観察する。不正解
循環障害で現れるのは、冷たさ・皮膚の青白さ・しびれ・強い痛みである。牽引側の指先でこれらを観察する。
- 3
抑制ジャケットを装着する。不正解
抑制ジャケットは体幹の動きを止める行動制限にあたる。牽引の必要性を子どもに分かる言葉で伝え、遊びや家族の付き添いで安静を保つ工夫を先に行う。
- 4
1日1回は弾性包帯を巻き直す。正解
弾性包帯は1日1回巻き直し、そのたびに皮膚の色・傷・かぶれと循環の状態を確かめる。
- 5
痛みに応じて牽引の重錘の重さを変更する。不正解
重錘の重さは医師の指示で決まる。痛みが強いときは重さを変えるのではなく、医師へ報告して鎮痛や牽引方法の見直しにつなげる。
📚 混同しやすいので注意
介達牽引と直達牽引は、引き方を入れ替えて問われる。「皮膚から引くか、骨から引くか」で見分け、共通する観察点まで対にして覚えよう。
- 介達牽引は絆創膏や弾性包帯で皮膚から引く方法で、小児の骨折に多く使う
- 直達牽引は骨に鋼線を刺して引く方法で、より強い力を長くかけられる
- 重錘は床につけず宙に浮かせたままにし、体が下方へずれていないか確かめる
- 上腕骨顆上骨折では前腕の血流が妨げられ、Volkmann(フォルクマン)拘縮が残ることがある。痛み・蒼白・脈が触れない・しびれ・麻痺は緊急のしるし
参考: 系統看護学講座 小児看護学/日本整形外科学会「上腕骨顆上骨折」
出典:「第106回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について