第105回 看護師国家試験 午後 問66 解説
📝 問題
山村部で地震による家屋倒壊と死者が出た災害が発生し、3週が経過した。避難所では、自宅の半壊や全壊の被害にあった高齢者を中心に10世帯が過ごしている。高齢者の心のケアとして最も適切なのはどれか。
✅ 正解
4
💡 解説
✅ 長年親しんだものを失った気持ちを話せる場をつくることが最も適切である。
発災から3週が過ぎると、命を守る段階を越え、家や田畑、近所づきあいといった長年親しんだものを失った実感が強まってくる。高齢者は住み慣れた土地との結びつきが深く、喪失への悲しみが前に出やすい。
この時期に必要なのは治療を持ち込むことではなく、安心して話せる場をつくることである。同じ体験をした人どうしが語り合えると、つらいのは自分だけではないと感じられ、気持ちの整理が進む。
- 1
認知行動療法を行う。不正解
認知行動療法は訓練を受けた専門職が診療の場で行うもので、避難所で全員に一律に行う支援ではない。
- 2
自分が助かったことを喜ぶよう説明する。不正解
助かったことを喜ぶよう促すと、亡くなった人への申し訳なさを口に出せなくなる。まずは今ある気持ちをそのまま受けとめる。
- 3
地震発生時の状況について詳しく聞き取る。不正解
発災時の状況を詳しく聞き取ると、つらい場面を思い出してかえって症状が強まることがある。本人が話し始めたときに聴く姿勢をとる。
- 4
長年親しんだものの喪失について話せる場をつくる。正解
家や畑、近所づきあいなど失ったものを語れる場があると、悲しみを言葉にでき、周囲とのつながりも保たれる。
📚 ここも一緒におさえておこう
災害時の心のケアは、時期によってすることが変わる。発災直後は安全と生活の確保、落ち着いてからは語れる場づくり、と時期と対応を対にして覚えよう。
- 災害の直後に多くの人が示す不眠・動悸・落ち着かなさは、異常な出来事に対する正常な反応で、多くは時間とともに和らぐ。
- 初期の支援の基本はサイコロジカル・ファーストエイド(心理的応急処置)で、見る・聴く・つなぐの3つを柱にする。
- 1か月以上たっても再体験・回避・過覚醒が続くときは心的外傷後ストレス障害(PTSD)を疑い、専門職につなぐ。
参考: 災害看護(災害時の心のケア)/厚生労働省「災害時のこころのケア」
出典:「第105回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について