第105回 看護師国家試験 午前 問99 解説
📝 問題
次の文を読み97〜99の問いに答えよ。Aさん(94歳、男性)は、要介護1で、妻(84歳)と2人暮らしであった。肺炎で入院治療していたが本日退院し、介護老人保健施設に初めて入所した。現在の障害高齢者の日常生活自立度判定基準はランクB-2、認知症高齢者の日常生活自立度判定基準はランクⅡaである。食欲は良好で、食事の姿勢や動作は自立している。部分義歯で不具合はなく、口腔内の異常はない。入所後3日。Aさんは「家では朝起きてすぐに歯磨きをして、口の中をすっきりさせて1日が始まった。ここでは、歯磨きは食後に介助すると言われたが、私は嫌だ」と言い、不満な様子である。Aさんはベッドから車椅子への移乗に介助が必要であるが、歯ブラシとコップとを用いて自分で歯磨きができる。 このときのAさんへの対応で最も適切なのはどれか。
✅ 正解
3
💡 解説
✅ 長年の習慣を尊重し、朝食前に歯磨きをする方法をAさん本人と相談する。
Aさんが不満なのは歯磨きそのものではなく、起床後すぐという自分のやり方を変えられたことである。 Aさんは歯ブラシとコップを使えば自分で歯を磨ける。介助が要るのはベッドから車椅子への移乗だけである。
施設の日課へ本人を合わせるのではなく、朝食前に磨ける方法をAさんと一緒に考える。移乗を手伝って洗面台へ行く、ベッドの上でコップとガーグルベースンを使う、といった案を出し合える。 長く続けてきた生活の仕方を保つことは、施設で暮らす人の自己決定を支えることにつながる。
残る3つは、Aさんの言い分を退けるか、施設の都合を理由にしている。
- 1
朝食前の歯磨きは効果がないと説明する。不正解
起床直後の口の中は細菌が最も多い。朝食前の歯磨きには細菌を飲み込むのを防ぐ意味があり、効果がないとは言えない。
- 2
朝食前の歯磨きの習慣を変更するように勧める。不正解
94歳まで続けてきた習慣を変えさせることになる。生活の連続性が断たれ、意欲の低下につながる。
- 3
朝食前の歯磨きの援助方法をAさんと相談する。正解
Aさんは自分で歯を磨ける。介助が要るのは移乗だけなので、いつ・どこで磨くかを一緒に決められる。
- 4
朝食前は職員が少ないので対応できないと謝罪する。不正解
職員の人数という施設側の事情を理由に断っている。謝っても、Aさんの望みはかなえられていない。
📚 国試でよく狙われるところ
高齢者の口腔ケアは、むし歯予防ではなく誤嚥性肺炎を防ぐ手立てとして問われる。「口をきれいにする=肺を守る」と結びつけて覚えよう。
- 義歯は毎食後に外して洗い、夜間は外して水につけて保管する。乾燥させると変形する。
- 口から食べていない人にも口腔ケアは要る。唾液が減って細菌が増えやすい。
- うがいができない人にはスポンジブラシを使い、水を含ませすぎないようにする。
参考: 系統看護学講座 老年看護学
出典:「第105回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について