第105回 看護師国家試験 午前 問52 解説
📝 問題
Aさん(102歳、女性)は、重度の廃用症候群のために5年前から発語が少なく体を動かすことができない。誤嚥性肺炎で入退院を繰り返し、終末期である。同居している家族は積極的な治療をしないことを希望し、自宅でAさんを看取ることを決めた。Aさんの家族への退院時の指導で最も適切なのはどれか。
✅ 正解
4
💡 解説
✅ 在宅で看取ると決めた終末期では、本人が食べたいときに食べられるようにする関わりが最も適切である。
Aさんは重度の廃用症候群で終末期にあり、家族は積極的な治療をせず自宅で看取ることを決めている。 この時期の目標は、検査や測定で状態を追うことから、本人の安楽と、家族が看取りをやり遂げられることへ移る。
食べることは最後まで残る楽しみで、量や栄養を確保することが目的ではなくなる。本人が食べたいときに好きなものを少量ずつ勧め、誤嚥に気をつけながら、欲しがらないときは無理に食べさせない。
他の3つは家族を追いつめるか、決めた方針とぶつかる。24時間の付き添いも尿量の測定も、家族の負担を増やすばかりで看取りの時期には要らない。急変したときに呼ぶのは救急車ではなく、訪問診療医と訪問看護師である。
廃用症候群とは
体を動かさない状態が続くために起こる心身の衰え。筋力の低下、関節の拘縮、褥瘡、誤嚥性肺炎などが重なっていく。
- 1
「24時間付き添ってあげましょう」不正解
24時間の付き添いは家族が休めなくなり、看取りを最後まで続けられなくなる。訪問看護や介護サービスを組み合わせ、家族が眠れる時間をつくる。
- 2
「おむつの重さで尿量を測定しましょう」不正解
おむつの重さで尿量を測るのは、輸液量の調整など治療の判断が必要なときに行う方法である。看取りの時期には判断に使わないため、家族の負担になるだけになる。
- 3
「苦しそうになったら救急車を呼びましょう」不正解
救急車を呼べば救命処置が始まり、自宅で看取るという方針から外れる。苦しそうなときは、あらかじめ決めておいた訪問診療医や訪問看護師に連絡する。
- 4
「Aさんが食べたければ食べさせてあげましょう」正解
終末期の食事は栄養をとることが目的ではなくなる。本人が食べたいものを少量ずつ勧め、欲しがらないときは無理強いしない。
📚 ここも一緒におさえておこう
在宅での看取りは、家族が何に困るかを想像させる形で問われる。家族の負担をどう減らすかを軸に考えよう。
- 家族が休息をとれるよう、訪問看護・訪問介護・短期入所を組み合わせる
- 急変時の連絡先と対応を紙にして渡し、救急車を呼ばずに済むようにしておく
- 亡くなったあとのグリーフケアまで含め、家族が「これでよかった」と思えるように関わる
参考: 厚生労働省「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」/系統看護学講座 老年看護学
出典:「第105回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について