第105回 看護師国家試験 午前 問113 解説
📝 問題
次の文を読み112〜114の問いに答えよ。Aさん(42歳、男性)は、全身倦怠感を訴え病院を受診したところ、肝機能障害が認められ内科に入院した。Aさんは大量飲酒を長期間続けており、アルコール依存症が疑われた。内科医からの依頼で精神科医が診察をしたときは、Aさんは意識清明で見当識障害はなかった。妻とは不仲であり、半年前に仕事で大きなトラブルがあったため、朝から飲酒するようになり飲酒量はさらに増えていた。入院後2日、夜間にAさんは「壁や布団に虫がたくさんいる」と訴え、興奮して眠らなかった。 考えられるのはどれか。
✅ 正解
1
💡 解説
✅ 入院して2日目の夜に現れた幻視と興奮であり、振戦せん妄が考えられる。
入院してアルコールが入らなくなると、体は離脱症状を起こす。手のふるえ・発汗・不眠から始まり、断酒からおよそ2〜3日で最も重い振戦せん妄に進むことがある。
振戦せん妄では意識がぼんやりし、虫や小動物が見える小動物幻視と強い興奮が現れる。夜間に強まるのも特徴である。 Aさんは入院後2日の夜に「虫がたくさんいる」と訴え、興奮して眠れていない。
他の3つは、起こる時期か症状が合わない。 アルコール幻覚症は意識が清明なまま幻聴が中心に現れ、急性アルコール中毒は大量に飲んだ直後に起こる。レム睡眠行動障害は夢の通りに体が動くもので、飲酒の中断とは関係しない。
離脱症状とは
アルコールが体から抜けていくときに現れる症状。飲み続けた体が、アルコールのある状態に慣れているために起こる。
- 1
振戦せん妄正解
意識がぼんやりしたところに小動物幻視と強い興奮が加わるのが振戦せん妄である。断酒から2〜3日という時期も一致する。
- 2
アルコール幻覚症不正解
アルコール幻覚症は意識が清明なまま幻聴が続くもので、幻視が中心のAさんとは異なる。
- 3
レム睡眠行動障害不正解
レム睡眠行動障害は、見ている夢の通りに大声を出したり手足を動かしたりする睡眠の病気をいう。飲酒の中断で起こるものではない。
- 4
急性アルコール中毒不正解
急性アルコール中毒は、短時間に大量の酒を飲んだ直後に起こる意識障害である。入院して2日飲んでいないAさんには当てはまらない。
📚 国試でよく狙われるところ
アルコールの離脱症状は「断酒から何日目か」で問われる。時期と症状を対にして覚えよう。 断酒後およそ1日で手のふるえ・発汗・不眠・不安が現れ、そのころ全身のけいれんを起こすこともある。 振戦せん妄のあいだは、転倒や脱水を防ぐ見守りと、ビタミンB1を補う治療が行われる。
参考: 厚生労働省 e-ヘルスネット(アルコール)/精神看護学テキスト(アルコール離脱症候群)
出典:「第105回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について