第103回 看護師国家試験 午後 問87 解説
📝 問題
抗甲状腺ホルモン薬の副作用はどれか。2つ選べ。
✅ 正解
4・5
💡 解説
✅ 抗甲状腺薬の副作用として肝機能障害と無顆粒球症が起こる。
抗甲状腺薬は、甲状腺ホルモンが作られる過程を止めてバセドウ病などの甲状腺機能亢進症を治す薬。飲み始めてしばらくの間に、血液と肝臓の副作用が出ることがある。 最も注意が要るのが無顆粒球症で、細菌と闘う好中球がほとんどなくなり、重い感染症を起こす。多くは飲み始めて2か月以内に現れ、発熱とのどの痛みが最初のサインになる。この症状が出たら自分の判断で飲み続けず、すぐ受診するよう伝える。 肝機能障害も起こるため、定期的に血液検査で確かめる。
他の3つは別の原因で起こる。 多毛は副腎皮質ステロイドや一部の免疫抑制薬による。眼球突出はバセドウ病そのものの症状で、中心性肥満は副腎皮質ステロイドの過剰でみられる。
無顆粒球症とは
細菌と闘う白血球(好中球)が極端に減ってしまう状態。ふつうのかぜのように熱とのどの痛みで始まるため、見逃すと重い感染症になる。
- 1
多毛不正解
多毛は副腎皮質ステロイドや一部の免疫抑制薬でみられる副作用。抗甲状腺薬で気をつけるのは血液と肝臓である。
- 2
眼球突出不正解
眼球突出はバセドウ病そのものの症状で、眼球の後ろの組織が腫れて起こる。薬で甲状腺ホルモンが下がっても残ることがある。
- 3
中心性肥満不正解
中心性肥満は副腎皮質ステロイドの使いすぎやクッシング症候群でみられる。顔が丸くなり、体幹に脂肪がつく。
- 4
肝機能障害正解
肝機能障害は抗甲状腺薬の代表的な副作用。だるさ・黄疸・食欲低下に気をつけ、定期的に血液検査で確かめる。
- 5
無顆粒球症正解
無顆粒球症は好中球がほとんどなくなる状態で、発熱とのどの痛みから始まる。飲み始めて2か月以内に多く、症状が出たらすぐ受診する。
📚 国試でよく狙われるところ
甲状腺の病気は、亢進症と低下症の症状を入れ替えて問われる。「代謝が上がるとどうなるか」から一気に引き出そう。
- 機能亢進症(バセドウ病)=頻脈・体重減少・発汗・手指振戦・眼球突出。暑がりで落ち着かない
- 機能低下症(橋本病など)=徐脈・体重増加・便秘・寒がり・むくみ。動作も話し方もゆっくりになる
- 治療は薬・放射性ヨウ素・手術の3つ。手術では反回神経を傷つけたときの嗄声と、副甲状腺を傷つけたときの低カルシウム血症に注意する
参考: 標準的な薬理学(抗甲状腺薬の副作用)/日本甲状腺学会「バセドウ病の治療ガイドライン」
出典:「第103回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について