第103回 看護師国家試験 午後 問67 解説
📝 問題
Aさん(50歳、男性)は、アルコール依存症のために断酒目的で入院した。入院前日の夜まで毎日飲酒をしていたと話している。 入院当日に優先的に行うのはどれか。
✅ 正解
3
💡 解説
✅ 入院当日は、アルコールの離脱症状である振戦の有無をまず確認する。
アルコール依存症では、最後の飲酒から数時間で、体がアルコールの切れた状態に反応しはじめる。 Aさんは入院前日の夜まで飲んでいたので、入院当日はまさにこの時期にあたる。 最初に現れるのは手指の振戦で、続いて発汗・不眠・不安、脈拍や血圧の上昇がみられる。 見落とすと、幻視や強い興奮を伴う振戦せん妄や、けいれん発作へ進むことがある。
他の3つは、体が落ち着いてから取り組む内容である。 抗酒薬の説明も、断酒会への参加も、ストレスへの対処の分析も、離脱症状を越えたあとの断酒を続ける段階で行う。
振戦せん妄とは
断酒から3日前後に現れる強い離脱症状。手のふるえに加えて、幻視や見当識障害、興奮がみられる。
- 1
抗酒薬の説明を行う。不正解
抗酒薬は飲酒したときに不快な反応を起こさせる薬で、離脱症状がおさまってから導入する。
- 2
断酒会への参加を促す。不正解
断酒会は退院後も断酒を続けるための自助グループ。参加を促すのは体の状態が落ち着いてから。
- 3
振戦の有無を確認する。正解
振戦は最も早く現れる離脱症状。最終飲酒からの時間とあわせて確認し、重い離脱へ進む前に手を打つ。
- 4
ストレス対処行動を分析する。不正解
ストレスへの対処の分析は再飲酒を防ぐための心理的な取り組みで、離脱期を越えてから行う。
📚 国試でよく狙われるところ
アルコールの離脱症状は、断酒からの時間と症状の組合せで問われる。早く出るものと遅れて出るものを時間で分けて覚えよう。
- 断酒後6〜24時間=手指の振戦・発汗・不眠・不安・頻脈・血圧の上昇(早期離脱症状)
- 断酒後12〜48時間=離脱によるけいれん発作が起こりやすい
- 断酒後72〜96時間=振戦せん妄。幻視・見当識障害・強い興奮を伴い、命に関わることがある
参考: 精神看護学テキスト(アルコール使用障害の看護)/厚生労働省「アルコール健康障害対策」
出典:「第103回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について