第103回 看護師国家試験 午後 問110 解説
📝 問題
次の文を読み109〜111の問いに答えよ。Aさん(32歳、男性、会社員)は、2年前にうつ病による入院歴がある。Aさんは仕事中に「新しい営業戦略を考えついた」と上司に大声でまとまりのない話を続け、止めようとすると激怒するようになった。会社から連絡を受けたAさんの両親に付き添われて精神科を受診したところ、Aさんは双極性障害と診断され入院した。 入院後3日が経過した。Aさんは自分の病室にいることはほとんどなく、自宅や会社に頻繁に電話したり、デイルームでノートに書き続けるなど、いつも忙しそうに過ごしている。食事の時間も落ち着かず、摂取量は毎食1/3から1/4程度である。 看護師の対応で適切なのはどれか。
✅ 正解
3
💡 解説
✅ 食事の摂取量が足りていないという事実を具体的に伝え、Aさんが自分の状態に気づけるようにする。
躁状態では活動が止まらず、空腹や疲れを感じにくい。Aさんも食事の時間に落ち着けず、毎食1/3から1/4しか食べられていない。この状態が続くと体の消耗が進む。
本人には不足している自覚がない。 食べた量や体重といった目に見える事実を短く具体的に伝えると、Aさんが自分の状態に気づき、食事に向かいやすくなる。
残る3つは、いま起きている摂取不足を止められない。
- 1
Aさんの食事を介助する。不正解
Aさんは自分で食べる力がある。介助が必要なのは食べる動作ができない人で、Aさんの問題は食事に向かう時間が取れないことにある。
- 2
Aさんが栄養指導を受けられるよう調整する。不正解
栄養指導は落ち着いて話を聞ける状態でこそ効く。注意が次々と移るいまは内容が頭に入らないので、落ち着いてから栄養の話をする。
- 3
Aさんに食事の摂取量が不足している事実を伝える。正解
自覚のないAさんに、食べた量という具体的な事実を返すことで、自分の状態に気づける。手に持って食べられる物を用意するなど、動きながらでもとれる工夫を添える。
- 4
Aさんが自分から食事をしたい気持ちになるのを待つ。不正解
待っているあいだも活動量は落ちない。脱水や体力の低下が進んでしまう。
📚 ここも一緒におさえておこう
躁状態の身体の危険は、本人が訴えないまま進む点が問われる。「食べない・眠らない・動き続ける」がそろったら体の消耗を疑おう。
- 食事は手に持って食べられる高エネルギーの物を選び、動きながらでもとれるようにする
- 水分は手の届く場所に置き、飲んだ量を記録して不足に早く気づく
- 睡眠時間が短くなるので、日中の刺激を減らして休息の時間を確保する
参考: 標準的な精神看護学(躁状態の身体管理)
出典:「第103回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について